「歩」の手筋8パターン

 将棋のルールを覚えた後は、実際に将棋で勝つための方法を学びます。そこで、重要なもののひとつに「手筋」があります。

  今回はその中の「歩」の手筋について学習します。将棋ではただ単純に駒の強さを比較すると飛車を最強として、「歩」を最弱となります。しかし、そんな将棋界最弱の「歩」も手筋となると、凄まじい力を発揮します。

 「歩のない将棋は負け将棋」、「一歩千金」という格言があるように、「歩」だからといって、なめてはいけません。

 

①垂れ歩

 相手陣地内や手前で、相手に駒を取られない場所に歩を打つ。次にト金になったり、歩の前に金や銀を打つことが狙い。

垂らしの歩①

図1

(図1)2四に貼ったのが「垂れ歩」である。次に2三となったり、2三地点に金や銀を貼る。

歩の手筋②

図2

(図2)相手がなにもしてこなかったら、2三地点でト金となり、角、金、銀取りとなる。相手の同金に対しては同飛車成とできる。

②継ぎ歩

 歩を相手の歩に取らせ、相手の歩が前進してきたところにさらに持ち駒の歩を打うこと。

継ぎ歩①

図3

(図3)四歩と歩を突き捨てor打ち捨てする。

継ぎ歩②

図4

(図4)相手の同歩にさらに、8五歩と打つ。これを「継ぎ歩」という。後手がこれを同歩としたら、王手・角取りになる。相手が取らない場合は同歩と進めて、ト金を目指す。

③合わせの歩

 相手の駒の前に歩を合わせる手段。一見タダ取りに見えるが、うまくいくと強烈。

合わせの歩①

図5

(図5)相手の2二歩の前に2三歩と打つ。

合わせの歩②

図6

(図6)相手が同歩と来たら、同銀でき、一機に優勢になる。

④底歩

 飛車による横攻めに対して、同じく9段に歩を打つ。

底歩①

図7

(図7)7九龍と相手が横攻めをしてきたため、5九歩と「底歩」を打った。この歩は金底の歩とも呼ばれ、かなり堅い。

⑤焦点の歩

 相手のあらゆる駒の利きがある地点に歩を打ち、相手の陣形を乱す手段。

焦点の歩①

図8

(図8)3三地点は相手の飛車・角・桂馬の利きがある。ここに歩を打つことを「焦点の歩」という。

焦点の歩②

図9

(図9)相手は3三の歩を角か桂馬で取ると、3四地点の銀がタダ取りになってしまうので、飛車で取るしかない。すると、自分は4四角とでることができ、飛車取りになる。

⑥たたきの歩

 相手の駒の前に歩を打ち、その先の戦略に生かすこと。

たたきの歩①

図10

(図10)8四地点に打った歩を「たたきの歩」と呼ぶ。相手は飛車で歩を取らないと飛車が取られてしまう。

たたきの歩②

図11

(図11)相手の同飛車に対して、7三馬が飛車と銀の両取りになっている。

⑦控えの歩

 相手が垂れ歩をしたきた際の受け側の手段。

控えの歩①.

図12

(図12)相手が8六地点に歩を打ち、次にト金を作ってくると、こちらはピンチです。そこでの受け手として8八歩と打つことを「控えの歩」と呼びます。これで相手が8七歩ときても、同歩と対処できます。

⑧連打の歩

 たたきの歩を連続でうつことで、自分の他駒の利きを生かすことです。

連打のふ①

図13

(図13)相手が8七銀成・8二飛車で攻めてきました。これ以上攻められるとピンチです。そこで、一度8三歩と打ちました。

図14

(図14)相手の同飛車にさらに8四歩と打ちます。再度、相手は同飛車を狙うが、そこには角が利いていてとれません。飛車が逃げたら、相手の成り銀を取ることができます。

まとめ

 今回は「歩」の手筋を8パターンご紹介しました。どうでしたか?思ったより、「歩」も強いじゃんと思ったのではないでしょうか。
 実践の中でうまい打ち手が思いつかないけど、持ち駒に「歩」があるなと思ったら、是非その「歩」を使ってあげてみて下さい。対局が一機に有利に働く可能性もあります。

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