2017に終了した電王戦。
コンピュータの代表と人間の代表が将棋で対決する電王戦の最後は、コンピュータの勝利で幕を閉じています。

本記事では、映画「AWAKE」の題材となった電王戦の歴史と、そこでのエピソードについてご紹介します。

映画「AWAKE」について

映画「AWAKE」は将棋電王戦FINAL第5局の対局を題材とした映画です。

あらすじ
かつては奨励会で棋士を目指していた英一(吉沢亮)は、同世代で圧倒的な強さを誇る陸(若葉竜也)に敗れ、プロの道を諦める。大学生になったある日、コンピュータ将棋に出会った英一は、その自由に将棋を指す様に心を奪われ、AI研究部に入部する。プログラム開発にのめり込んだ英一は、数年後にコンピュータ将棋の大会で優勝し、プロ棋士と対局する電王戦への出場を依頼される。

電王戦とは?

電王戦とは、ドワンゴが主催するプロ棋士とコンピュータ将棋ソフトの戦いのことで、2012年~2017年の6年間に毎年開催されました。

第一期電王戦からは、プロ棋士代表は叡王戦の勝者としており、現在では8大のタイトルの一角である叡王戦を発足させたのも、電王戦がきっかけです。

電王戦の歴史

勝者
棋士
コンピュータ
2012
コンピュータ
米長邦雄永世棋聖
ボンクラーズ
2013
コンピュータ
五番勝負のため5名
五番勝負のため5つ
2014
コンピュータ
五番勝負のため5名
五番勝負のため5つ
2015
棋士
五番勝負のため5名
五番勝負のため5つ
2016
コンピュータ
山崎隆之叡王
PONANZA
2017
コンピュータ
佐藤天彦叡王
PONANZA

電王戦の歴史は表の通りです。
少しややこしいので戦いの名称は省略しましたが、以下の通りです。

2012年 電王戦:第1回将棋電王戦
2013年 電王戦:第2回将棋電王戦
2014年 電王戦:第3回将棋電王戦
2015年 電王戦:将棋電王戦FINAL
2016年 電王戦:第1期電王戦
2017年 電王戦:第2期電王戦

将棋電王戦FINALでのエピソード

唯一棋士側が勝利した、将棋電王戦FINAL(5番勝負)でのエピソードをご紹介します。

1.「2七角不成」の一手

第1局は、斎藤慎太郎五段が真っ向勝負でAperyに勝利し、棋士側が先手を取ります。

続く第2局、永瀬拓矢六段とSeleneの戦いでは、永瀬棋士が「2七角不成」という通常では指されない手で王手をかけます。
これはSeleneのバグを突いた一手で、角の不成をプログラムされていなかったSeleneは王手放置の手を指し、反則負けとなりました。
(ただし、戦局としても永瀬棋士が優勢だったため、Selene開発者の西海枝さんは完敗を認められていました。)

電王戦は人間(棋士)とコンピュータの戦いですが、コンピュータを作るのもまた人間であることを再認識する結果となりました。

2.わずか21手での投了

第3局、第4局とコンピュータ側が勝利し、2ー2で向かえた大一番の第5局。
阿久津主税八段とAWAKEの戦いは、AWAKEがわずか21手で投了する展開で終了します。

AWAKEには事前にプログラム的欠陥が判明していて、ある局面に入ると角を捨ててしまうことが分かっていました。
その欠陥を阿久津棋士が突くか、真っ向勝負での対局となるかが注目されましたが、前者の試合運びとなったため、開発者の巨瀬さんは21手で投了の選択をしました。

これには多くの意見があり、阿久津棋士が勝負から逃げたとする批判や、勝負師として勝ちにこだわる姿への賞賛があります。

映画AWAKEの題材

エピソードの2番で紹介した、将棋電王戦FINAL第五局が題材の映画「AWAKE」。
普段は着目されない、コンピュータの裏側にいる人間の視点から、挫折やさまざまな苦労を描いている作品となっています。
また、人類代表(棋士代表)として、複雑な葛藤の中で戦う棋士の心情も表現されていて、見応えがある良作です。

まとめ.AIと人間は戦うのではなく、協力する時代になっている

2017年に電王戦を主催するドワンゴの川上会長は、電王戦終了の理由について、「人間とコンピュータが同じルールで真剣勝負をするという歴史的役割は終わった」と話しています。

現在では自己研究に将棋AIソフトを使うことは、棋士にとって普通のことになっています。
そこには、電王戦という棋士とコンピュータとの戦いの歴史があり、将棋AIソフトは、これからの将棋界の発展に大きく貢献してくれるということが分かりました。

参考:Wikipedia 将棋電王戦
(https://ja.wikipedia.org/wiki/将棋電王戦#将棋電王戦FINAL)

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